広報はぼろ2022年1月号掲載のコラム記事
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
職場の健診など「要精査」と書かれると受診するので説明を聞けますが、「経過観察」と書かれて”もやもや”する方もいるかもしれません。今回はそんな中でよく質問される「胆石」についてです。
胆石は成人の10人に1人に見られ、食生活の欧米化などにより増加しています。食事の消化・吸収に必要な胆汁という消化液があり、その流れる場所を胆道と呼びます。この胆道に、胆汁に含まれる成分が結晶になって固まったものが胆石です。
胆石ができやすい人は、「40代」「女性」「太った」「多産婦」と言われ胆石があっても一生に症状が出る方は7割程度と言われ、無症状の方も一定数います。典型的な症状は、右上腹部~みぞおちの痛みで、冷や汗をかくほどの強い鈍痛があり、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。30分以上、およそ1時間程度持続することが多いとされています。この症状で、とくに先ほどの胆石ができやすい人が受診した場合は、おそらく医師の頭の中では真っ先に「胆石発作」が思い浮かんでいるはずです。
胆道の中でできた場所によって対応が変わり、胆嚢という胆汁を溜めておく場所にできる胆石について説明します。それ以外の場所の胆石は、合併症を起こす危険があるため比較的早急に精密検査や治療を進めなければなりません。
健診などで胆石を初めて指摘された場合、過去に胆石が悪さをした病気(胆嚢炎など)の経験はないはずですので、この場合は経過観察でよいです。前述のような典型的な症状がある場合、胆石が3cmを超える場合、胆嚢に腫瘍がある場合などは胆嚢切除が推奨されますが、それ以外の場合は健診で毎年指摘される場合でも、経過観察でかまいません。典型的ではない吐き気・嘔吐を伴わない腹痛であっても、血液検査の肝臓や胆道の数値で異常があった場合は、その異常の原因を探りつつ、胆嚢結石による発作以外に説明がつかなければ、胆嚢切除が検討されることがあります。
過去にCTを受けたのに指摘されなかった・・・という方もいますが、胆石の成分によっては結石が写らないことがあります。CTの方が優れていると思われがちですが、必ずしもそうではない病気もあるのです。
胆石の予防には、暴飲暴食、コレステロールの多い食物(脂の多い肉、天ぷら、魚卵など)、動物性脂肪の多い食事(バター、マヨネーズなど)を避けましょう。適度なアルコールやコーヒーは胆石の抑制につながるとされます。