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医療コラム

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2022.04.01 医療コラム

広報はぼろ2022年4月号掲載のコラム記事

年々体が硬くなり、肩や膝、腰などさまざまな関節が動かしにくくなっていることを私自身実感しています。これは加齢による変化と運動不足から来るのですが、関節が伸びる方向の可動域が制限されるようになります。高齢になるほど顕著になり、前屈みになり、ガニ股で、膝が曲がる・・・志村けんさんのコントに出てくるおばあちゃんのイメージです。関節の表面同士の滑りが悪くなり、靭帯や腱の組織が硬くなるためとされています。高齢者では関節痛が多くなりますが、この硬くなった腱などが伸びる時に痛みが出ると考えられます。高齢者ではこの関節可動域が制限されるとともに、筋肉量減少(サルコペニア)もあり、余計に関節に負担がかかりやすくなります。

少しでも解消させるには運動が有効です。最近では高齢者を対象とした運動教室も多くありますが、なかなか外に出られない方もいます。外に出るだけの体力、筋力がなくなり、痛くて動けない・・・ということから余計に関節が硬くなり、さらに痛みが出て、動けない・・・と悪循環となります。ですから、運動教室に行けない方のほうが、より運動が重要なのです。様々な体操が考案されおすすめされていますが、なかなか覚えられません。私自身は定期的な運動習慣がなかったので、最近ラジオ体操を始めてみました。随分と久しぶり(20年以上ぶり)にやってみましたが、不思議なもので音楽を聞けば自然と体が動くものです。新しい運動を覚えるよりはるかに楽ですね。

ラジオ体操の歴史は古く、1928年にスタートし、今のラジオ体操第一が1951年、第二が翌年ですから約70年になります。それぞれの体操の3分強に、13種類の運動が取り込まれ、運動強度は高くないものの、全身の筋肉が使われるように工夫されています。科学的な効果があるのか調べてみると、「体力年齢が若くなる」「血管年齢が若くなる」「呼吸機能の低下を抑える」「骨密度が同年代よりも高い」との報告があるようです(3年以上継続して実施した場合)。全身の筋肉を動かすことにより、全身の血流量が増加することや、筋肉や関節の柔軟性が改善することによるそうです。他にも音楽の伴奏のある運動は認知症予防や改善につながるというものもありました。

私自身、始めてから関節の痛みが随分と和らぎました。長続きするためには、難しいことを新たに行うよりも、かつて慣れ親しんだものを日々に取り入れてみても良いのではないでしょうか。