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医療コラム

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2022.11.01 医療コラム

広報はぼろ2022年11月号掲載のコラム記事

先月に引き続き「不眠」のお話です。

「眠れない」ということ自体は病気ではありません。それに加えて「日中の眠気」「心身の不調」「仕事や家事への支障」があって、初めて「不眠症」という病気として対応します。「眠れないのでお薬を出してください」と簡単にお話をされる方がいらっしゃいますが、そこでホイホイと薬を出すのが良い医者かというとそうではありません。これらについて確認することが必要です。ただ、私もそうですが、外来の場面で全てを聞く時間はありません。お一人数分で終わらなければ外来が回らないことも多々ですので、そこを飛ばして「不眠症」という病気という前提でお話を進めることが多くなります。

「血圧が高い」「血糖値が高い」などで受診する時、医師とどのようなお話になるでしょうか。多くの場合は「まず生活習慣を改めましょう」となります。患者さんも最初から薬を出されるよりはそれを望まれる方が多いです。例えば高血圧の場合、「数ヶ月ほど減塩にするなど生活習慣を改めて、血圧手帳を自宅でつけて、次回受診してください。」となります。それと同様に「不眠症」もまず薬を出さずに生活習慣指導を行います。「認知行動療法」と言いますが、眠りに対する思い込みや強迫観念などについて是正できるように指導します。その際に睡眠に関する生活習慣をお聞きするのですが、ほとんどの方でやってはいけない習慣を行っています。いくつか例示し、正しい習慣についてお伝えしておきます。

 

①「夜眠る時間を決めている」これは決めない方が正解です。子供はこれでも良いのですが、眠ろうと意気込むことがかえって逆効果です。

②「夜10時までに眠ろうとしている」夜の7時から10時は一般的に生理的に眠れない(眠ってはいけない)時間です。人間は生理的に眠気が来る時間は決まっており、まずPM3時ごろ(これは経験ありますよね!)、その後眠れない時間が来ます。そのピークが夜の9時前後。この時間に勉強や仕事が捗った記憶はありませんか?そして眠気が強まり1番のピークはAM3時頃とされています。つまり、この生理的に眠れない(眠ってはいけない)時間に無理に寝ようとしてはいけないのです。

③「布団に入ってテレビを見たり、スマホを見ている」布団は眠るところなので、眠れなかった時に布団が苦痛の場所になると余計に眠れなくなります。またテレビなどから光の刺激を受けることも眠れない要因となります。

 

これらがほとんどの場合で聞かれる、「やってはいけない生活習慣」です。まずこれを治すことが基本になります。