広報はぼろ2023年3月号掲載のコラム記事
昨年10月から4回にわたって不眠を取り上げ、12月号で自律神経のことに触れました。自律神経とは、交感神経(元気にする役割で主に日中に活発になる)と副交感神経(リラックスさせる役割で主に夜間に活発になる)からなり、この2つがバランスをとり体調を整えています。必要に応じて切り替わるもので、自分自身で完全にコントロールをすることは難しいものです。自律神経の働きは加齢とともに低下することが知られており、先日お話しした不眠の原因のほか、体のだるさ、汗をかいたり、ほてったり、動悸、めまいなど多彩な症状につながります。よく「自律神経失調症」と聞くこともありますが、これは医学的な正式な病気の名前ではありません。どうしても診断名を求められると、病名として説明しがちですが、一連の症状をまとめているものと捉えていただければと思います。
自律神経の働きについて正確に評価・診断できる方法があればよいのですが、なかなか難しいところがあります。ただ、上記の症状がいくつかあるようだと、その可能性が高いであろうことは推測されます。もちろんそこに至るまでには、これまでの病歴や検査結果、その方自身の性格なども踏まえながら判断しています。
なにか特別良い薬があるわけではありません。「なにか悪い病気ではないか?」と疑いつづけるほど症状が悪化します。なによりストレスが悪化の要因になります。まず、「悪い病気ではなさそうだ」と安心することから始めましょう。その上で、ストレス解消法があれば取り組みます。また積極的に他者と交友することも大事で、閉じこもってしまうと抑うつになります。運動不足にならないこと、食事をバランスよく摂取することが重要です。とくに「セロトニン」というホルモンが体を整えるために必要で、このホルモンを作るもとである「トリプトファン」を食事から摂取することが理想です。多く含まれるものとして、かつお、まぐろ、牛乳、チーズ、豆腐、納豆、ナッツ、バナナなどです。とくに、かつおやまぐろはビタミンB6やマグネシウムも含み、よりセロトニンを作るのに役立ちます。
朝起きたら、常温の水を1杯のみ、ストレッチなど体を動かし、三食しっかり食べ、夜は熱過ぎない風呂に入り、首を中心に温まるようにする・・・と多少症状がよくなるかもしれません。