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医療コラム

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2023.07.01 医療コラム

広報はぼろ2023年7月号掲載のコラム記事

健康に関連する「社会的な要因」のことを5月号からお伝えしています。

このようなことは今になってわかった話ではありませんし、私たちのような医療従事者が「社会的な要因」を全く無視していたわけではありません。今回も寓話を紹介します。流れの速い川岸にいると溺れている人が流れてきて、助けたそばからまた次に溺れた人がやってくる・・・その繰り返し。溺れる人を助けることで精一杯で、なぜ溺れる人がたくさんやってくるのか、上流まで見に行って確認する時間もなかった・・・、というものです。

下流にいて溺れる人を助ける人、これは医療機関に当たります。私たち医療機関は、当然病気になった人がやってくるのでそれを治療することを考えるように教育を受けています。しかし、そもそもなぜ病気になるのか?という視点は、まったく教育されていないわけではありませんが、実践している医療従事者はごく少数だと思われます。例えば、高血圧に対する減塩のような生活習慣は指導してはいますが、なぜその地域で塩分が好んで摂取されるのか?ということまでは考えていないことが多いです。このような例はまだ簡単です。ほかの例を挙げると、独居の高齢者(身寄りが全くいない)が数日前に発症したと思われる感染症で、重症化して運ばれてくることがあります。もちろん治療しますし、その後どのように生活するのかを医療機関と地域の介護・福祉の担当者で相談して決めていきます。しかし、もっと早く見つけてあげられなかったのか?これから同じようなことを繰り返さない対策は?などといったことまで、私たちが踏み込んでいくことは以前はほぼありませんでした。この寓話の上流にあるのが生活習慣や生活環境などの社会的な要因になるのです。上流〜中流で「溺れないようにする」対策が必要で、川に柵を設けたり、泳ぎ方を教えてあげる必要もあるでしょう。あるいは川の見張りを増やしたり、浮き輪を多く設置するなどの「助けられる」対策も必要になります。このような対策について、上流を変えることができる人たち(自治体など)に対して医療従事者が積極的に実情を伝えていくこと(患者さんの代弁者になること)も求められるようになってきています。

そこで羽幌病院では、昨年度から入院中の患者さんについて、社会的な問題がないかを積極的に確認するように取り組むようにしています。来月はその点について触れていきたいと思います。