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医療コラム

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2023.05.08 医療コラム

広報はぼろ2023年5月号掲載のコラム記事

この号が出る頃には、新型コロナウイルスは5類感染症に変更になります。ただ、ウイルスが突然流行しなくなるわけではありませんから、これから社会はある程度のことは許容していくということかと思います。もっと早くすべきだったとか、過剰な対応だったなどの意見もあるかもしれませんが、生命に関わった方も、後遺症に悩まれる方もいらっしゃるので、新しく出会うものへの対応としてはやむなしかと感じています。ある意味では災害と同じなので、なにが正しかったのか正解はないでしょう。
さて、コロナでの対応の中で、社会経済的なダメージが大きいことが強調されてきました。病気の面で見ると、感染対策を励行する中で、流行当初は様々な感染症が減りました。羽幌病院のデータでは肺炎も減っています。外出を減るので骨折も若干減りました。入院する患者さんも減っています。ただ、本当に健康を害していないのかは、これから問題になってくるように思います。外来でお話をさせていただく中と、この期間に「つながり」が減っているようです。町内会や老人クラブの集まりがなくなり、高齢者は増えているはずにも関わらず、老人クラブの会員数も減っているそうです。言われてみると出歩いている方も減っているような気もします。外に出て、親戚以外の他人とお話していますか?
これを機に「健康」とはなにか、改めて考えてみました。WHO(世界保健機関)による定義では、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病の存在しないことではない。」とされています。つまり、ただ病気ではないから健康だというものではないのです。とくに「社会的に良好」というのがポイントです。もともと社会的な面が損なわれている方は、健康を害しやすいことは指摘されており、「健康の社会的決定要因」として近年強調されています。その要因の一つである「つながり」はこの期間に欠如しましたが、実は健康維持に重要な役割を果たしていると考えられています。ですから、知らないうちにこの期間に健康を害していた方も多いのです。
ポストコロナ、ウィズコロナと言われる中、感染症や災害があるかわからず、「持続可能」な社会を作り上げること、レジリエンス(困難を乗り越え対応する力)を高めることが重要になります。
このコラムは「健康」とついていますが、病気のことを中心に話してきましたが、何回かに分けて、社会的な面から見た健康についてお伝えしていきたいと思います。