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医療コラム

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2023.11.15 医療コラム

広報はぼろ2023年11月号掲載のコラム記事

みなさん塗り薬はすべて同じだと思われていないでしょうか。よく外来で「この薬を顔に塗ったらよく効いたからまたちょうだい」などと言われることもあり、間違われて使われていることを感じることもあります。

塗り薬でも「ステロイド」と言われる類いの薬は、炎症を抑える効果があり、非常に効果が高いものです。ステロイドはそもそも人間の体で作られるホルモンで、それを人工的に合成したものです。ステロイドの塗り薬には強さが5段階あり、炎症の程度や皮膚の部位に応じて使い分けることが必要です。「早く治したい!」というのは誰もが願うことで、強いステロイドを使いたくなるところですが、使い方を誤ると副作用が起き、結果的にトラブルになることがあります。使用する部位に応じて塗り薬の吸収の程度が異なり、腕を1とすると、頭皮は3.5倍、頬は13倍、陰部にいたっては42倍にもなります。これは皮膚の厚さによるもので、子どもやお年寄りでは、一般的な成人よりも皮膚が薄いため、より吸収が高まります。そのため、処方されたステロイドの塗り薬を、安易にそのときに症状のあったところと他の部位に使用すると、危険な場合があるのです。

また必要な量を正しく使用する必要があります。大人の人差し指の第1関節までが「0.5g」で、これは「大人の手のひら2枚分の面積」に相当します。症状の強い時期はその量が基本となります。それよりも狭い面積で塗ると量が多いことになりますし、広く塗ると想定した効果が現れないこともあります。

期間も重要で、強い炎症がある場所(赤みが強く、皮膚が硬く、かゆみなどの症状がある部分)に、通常は3日程度塗布します。その後は徐々に量を減らしていきます。あるいは弱いステロイドに変更する必要があります。そして2週間程度で中止します。慢性的に塗っていらっしゃる方を時々見かけますが、逆に皮膚が薄くなったり赤みが増すなどの副作用を起こす場合があります。案外慢性的に塗っている方は、塗り続けていることにより症状が出ていることもあります。

塗るタイミングは、入浴後すぐが好ましいとされます。「5分以内」とも言われるほどです。入浴後以外のタイミングでは、化粧水などで一旦皮膚を湿らせるほうが効果があります。保湿剤を一緒に塗る場合には、ステロイドを先に塗り、保湿剤を塗る方が良いでしょう。