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医療コラム

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2024.07.31 医療コラム

広報はぼろ2024年7月号掲載のコラム記事

先月紙面が足りずに従来の認知症薬の副作用を書けませんでしたが、吐き気や嘔吐、食欲不振などの胃腸症状が見られます。ひどい場合には、体が固まったり、震えが起こったり、勝手に体が動くようなことがあります。また興奮したり、怒りっぽくなることもあります。

先月取り上げた薬とは別の薬として、「メマンチン(商品名メマリー)」があります。これはグルタミン酸という神経伝達物質を脳の中で受け止めるところ(受容体)が過剰に働いてしまうことを抑える役割の薬です。この薬は「アルツハイマー型認知症」というタイプのみに使用できるもので、とくに中等度から高度の方が対象です。これも「症状の進行を抑える」とはされますが、「病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」とされています。ただ、この薬が「ドネペジル」などと異なるのは、興奮や攻撃性をはじめとした認知症の方に見られる症状を抑える効果が期待される点です。このような症状は、徘徊をしたり、介護への抵抗につながっていくため、介護の手間が増してしまいます。そのため、そのような場合に使用することがあります。こちらも胃腸障害やめまいなどの副作用はありますので注意が必要です。冒頭にも書いたとおり、「ドネペジル」の副作用にも同じような症状があるため、副作用なのか認知症の症状かを見極める必要があります。

いずれの薬も「効果が認められない場合、漫然と投与しないこと」とはっきり記載されていますから、もし効果が実感できない場合は継続すべきかどうかを医師と相談するのが良いでしょう。

昨年秋に承認された「レカネマブ」という注射の薬は、ニュースでも大々的に報道されていたこともあり、興味をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症」を対象として、病気の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることが実証されたようです。アルツハイマー病は脳に異常なタンパクが蓄積して発症するものですが、そのタンパクを減少させることで効果が得られるとされます。2週間に1回点滴治療を18ヶ月受けるものです。ただ、副作用として脳がむくんだり出血することがあるようです。確実なアルツハイマー病の診断が必要となり、また治療開始前と開始後定期的な検査が必要となるため、専門的な医療機関でなければ治療を受けることができません。新しい治療には飛びつきたくなるものですが、もう少し経過をみることになりそうです。