広報はぼろ2024年11月号掲載のコラム記事
ノロウイルスは特に11月から3月にかけて多く発生する胃腸炎です。低温・低湿度の環境がウイルスの感染力を高め、また牡蠣などの二枚貝を生食する機会が増えることも原因とされています。集団生活をしている学校や施設では大規模な流行を引き起こすこともあります。
ノロウイルスは、主に汚染された食品や水、感染者の糞便や嘔吐物を介して広がります。そのため予防には以下の点を中心に注意すると良いでしょう。最も効果的なのが手洗いです。外出から帰宅した後、トイレ使用後、食事前や調理前には、石けんを使って流水でしっかり手を洗うことが大切です。コロナ禍以降はアルコール消毒を多くの方が実践するようになりましたが、ノロウイルスに対しては効果が低いため、必ず石けんを使いましょう。食品を85~90℃で90秒以上加熱することでウイルスは死滅します。生ガキなどの二枚貝は感染源となりやすく、しっかりと加熱してから食べるようにしましょう(私は生ガキが好きでよく食べます…)。生野菜なども可能であれば洗浄や加熱を行うことが望ましいです。ノロウイルスに汚染された食材や調理器具から他の食材にウイルスが移ることを防ぐため、使用後は洗浄し、できれば次亜塩素酸ナトリウム(例:「ハイター」)で消毒すると良いでしょう。
ノロウイルス感染から1〜2日後に、激しい嘔吐や下痢、腹痛が急に始まります。嘔吐や下痢によって体内の水分が失われるため、脱水症状を予防することが優先です。特に乳幼児や高齢者は、少量ずつでも水分補給をこまめに行いましょう。経口補水液(OS-1)など、塩分と糖分がバランス良く含まれた飲料が効果的で、点滴と比較し優劣はありません。下痢止めの処方を希望されることはあるのですが、ウイルスの体外への排出を遅らせてしまうこと、また特効薬はないので、自宅でゆっくり療養しながら水分摂取で良いでしょう。
周りの方は嘔吐や下痢の処理の際はマスクや手袋などを着用してから処理をする、汚染した場所はハイターで清掃することが理想です。
ノロウイルスとどう診断するのか?と言いますと、実はインフルエンザやコロナと異なり、検査を行うことができる対象が限られており、基本的に3歳未満や65歳以上以外の方は保険適用外です。対象の方であっても検査をするケースは限られ、集団感染や、食品関係勤務の方では職場内で感染拡大を防ぐため行う場合があります。
特効薬がなく症状に対した管理が中心で、他の下痢を起こすウイルスと対応に変わりがないことから、診断にこだわる必要はありません。下痢で具合が悪ければ、きちんとお休みしましょう。