広報はぼろ2024年12月号掲載のコラム記事
今年もいよいよあとわずかです。年末年始に離れた親戚が帰省される家庭もあり、久しぶりに会って話をできるタイミングです。そんな時に話してほしいことは「人生の最終段階をどうするか」です。先日羽幌町で講演の機会をいただき、その中で「人生の最終段階をどうするか話し合っておきましょう」と触れました。そのことが書かれた新聞記事をお読みになった方から、「夫婦でもお互いに避けてなかなか話をしにくいんだけど、どうなんだろう?」と。たしかに、あまり良い話ではないですしね。「なんでもいいんですよ。話しにくければ、「人生で最後に食べたいものは?」みたいな話がきっかけでもいいですよ。」とお答えしました。
「人生の最終段階を考えて話し合うこと」を「アドバンスケアプランニング(ACP)」と言いますが、わかりにくいので「人生会議」と呼ぶように5年ほど前になりました。人生の最終段階では、自分で意思決定ができなくなる可能性があり、事前に意向を誰かに伝えておく方が、より自分の望む形で最期を迎えられることに繋がります。また、いざという時に家族に判断が委ねられると、家族にとっても心理的な負担が大きくなりますので、家族がいらっしゃれば、ぜひ伝えておいた方が良いのです。
では、具体的にどのように人生会議を進めればよいのでしょうか。まずは、自分自身で考えてみます。「良い人生とは?」「介護が必要になった時どこで過ごしたいか・最期をどこで迎えたいか」「病名や予後など告知を希望するか」「延命治療を希望するか」などです。最近はエンディングノートが書店で売られていたり、インターネットでもダウンロードできるので、その形式に沿って考えて書き出しても良いでしょう。わからないことがあれば、主治医に聞いてみても構いません。そして、家族や自分の大事な人と共有しておくと良いでしょう。反対をされることもあるかもしれません。お互いに意見を出しながら、最終的な判断は本人の意思を尊重してほしいと思います。一番大事なことは、一度決めたことが結論ではなく、何度も繰り返して話をすることです。人生のことですから悩んで当然で、一旦決めたから覆してはいけないということはありません。そうして繰り返して話をすることで、暗く避けたい話でも気軽に話をしていけることにもつながるかもしれません。
人生の最終段階は避けて通ることのできません。向き合うことで自分の人生をより深く見つめ直し、また大切な人々と共有することでその関係をさらに強めることができます。この年末年始は、「人生最後に食べたいもの」でも良いので話してみましょう。