音声よみあげ

配色変更

文字サイズ

  • 標準
  • 拡大

医療コラム

  1. HOME
  2. お知らせ一覧
  3. 医療コラム
  4. 広報はぼろ2025年3月号掲載のコラム記事
2025.03.27 医療コラム

広報はぼろ2025年3月号掲載のコラム記事

最近外来で帯状疱疹ワクチンについてご相談を受ける機会が増えています。皆さんの関心が高まっていることを感じ、今回取り上げさせていただきます。

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスという水ぼうそうと同じウイルスが原因で発症する疾患です。子供の頃に水ぼうそうとして初めて感染した後、体に潜伏し続け、加齢やストレス、免疫力の低下を契機に再び元気になって帯状疱疹として発症します。50歳以上から多くなり、70歳代・80歳代がピークとされ、3人に1人が発症するとされます。症状は、体の左右どちらかの神経に沿った皮膚の痛みや違和感が始めに起こり、その後、小さな赤いブツブツができ、水ぶくれに変化して増えていきます。これが帯状にできることから「帯状疱疹」と呼ばれます。皮膚の症状は1週間がピークで、その後は3週間ほどかけて治っていきます。最大の合併症は「帯状疱疹後神経痛」であり、帯状疱疹患者さんの5人に1人が皮膚症状が治癒した後も長期間にわたり強い痛みが続くことがあります。特に高齢者ではこの痛みが慢性化し、生活の質の低下につながるため、予防が非常に重要です。

予防として、ワクチンが有効であることが明らかとなっています。ワクチンとして、従来は水痘(水ぼうそう)ワクチンを使用していましたが、2020年に安全性に優れた不活化ワクチンである「シングリックス」が出てきました。この2つには違いがあり、新しいワクチンの方が効果が高く、帯状疱疹の発症を90%以上減少(従来は50%)、帯状疱疹後神経痛を90%以上減少(従来は50%程度)となっています。一方で、2回接種が必要であること(従来は1回)、値段が2回合計で4万円弱と従来品の8倍程度と高額であることが、従来と比べてネックになります。なお、発症した際の治療費は、最低でも約2万円程度、神経痛が起こり長引くと数十万になる場合があり(これに対して保険がかかります)、休まなければならない場合があることも考慮すると、新しいワクチンでも元は取れるものと思われます。副反応は、接種部位が腫れ・痛みがいずれにも見られますが、やや新しいものの方が多いとされています。

2種類のワクチンがありますが、新しい不活化ワクチンの方が推奨され、特に高齢者や免疫抑制状態の患者に対しても有効であり、世界的にも推奨されています。50歳以上の方には接種を強くお勧めします。道立羽幌病院でも接種可能ですので、ぜひ外来でお気軽に相談いただければと思います。