広報はぼろ2025年6月号掲載のコラム記事
温暖化の影響で羽幌町も夏の暑い日が増えている印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。気象庁のデータで8月の見ますと、1960年〜69年の10年間は20.1℃、直近10年間が21.6℃で、1.5℃の気温上昇のようです。そんな暑くなる中で気になるのは熱中症です。労働環境における熱中症による死傷者が相次ぐことから、今年の6月からは職場における熱中症対策が法制化されるなど、以前よりも対策の必要性が増しています。まず今月は暑さが本格化する前にできる予防や対策をお伝えします。
熱中症の予防として、「こまめな水分補給」や「日陰での休憩」「エアコンの適切な使用」をイメージされるかと思いますが、実はもっと根本的な対策として注目されているのが「暑熱順化」です。暑熱順化とは、体を暑さに慣らし、暑さに強い状態にすることを意味します。これにより、同じ環境下でも熱中症になりにくくなるのです。私たちの体は、暑い環境に一定期間さらされると、次第に汗をかきやすくなり、体温調節機能が効率よく働くようになります。暑熱順化が進むと、①発汗量が増え、汗による体温調節がスムーズになる、②汗に含まれる塩分が減り、脱水症状が起こりにくくなる、③皮膚の血流が増え、体内の熱を効率的に放散できる、などの変化が起こります。つまり、暑熱順化は「暑さに対する防御反応を鍛える訓練」のようなものなのです。
この手順はすぐにできるものではありません。通常は、5~7日ほど継続して暑さに慣れることで、効果が表れてきます。
1)軽い運動
軽い有酸素運動を20〜30分程度、気温の高い時間以外に行います。その後しっかり水分と塩分を補給しましょう
2)入浴
運動できない方は湯船に浸か流のも有効です。ポイントは「ぬるめのお湯」で、38~40℃くらいで15分ほど肩まで浸かります。体温を上げて発汗を促します。
3)室内で慣らす
クーラーの効いた室内で過ごすことはあまり良くありません。適度に暑い状況で過ごす日を作ることも有効です。室内であれば、水分や塩分の補給はできますし、日陰でもあるので、安全に順化を進められます。
慣れてきた身体を定期的に暑さにさらす必要があり、順化したものが元に戻るのも早いです。冷房の効いた空間ばかりで過ごすと、順化させた身体でも熱中症を引き起こします。本格的な暑い時期を迎える前から、意識的に暑さに慣れる努力をしておくことが重要です。