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医療コラム

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2025.09.23 医療コラム

広報はぼろ2025年9月号掲載のコラム記事

夏から秋にかけて、キャンプや登山、公園の散歩中など、自然と触れ合う機会が増える季節には、ハチ刺され(蜂刺傷)のリスクも高まります。刺されると非常に痛く、場合によっては命に関わることもあります。今回はその基本的な知識から、刺されたときの対応、予防法までを詳しく解説します。

ハチの中でも、人を刺す可能性があるのは主に「スズメバチ」「アシナガバチ」「ミツバチ」の3種です。これらのハチは、自衛や巣を守るために針で攻撃し、毒液を注入します。刺されると、まず激しい痛みとともに、刺された部位が赤く腫れあがります。これはハチの毒による局所的な炎症反応で、多くの場合は数時間から数日でおさまります。しかし、問題は「アレルギー反応」です。過去に刺されたことがある人や、体質的に敏感な人は、再び刺されると強い免疫反応を起こし、「アナフィラキシー」と呼ばれる重篤な症状を引き起こすことがあります。これは、アレルゲン(この場合は蜂毒)に対して過剰な免疫反応が起こることで、急速に全身症状をきたす状態です。蕁麻疹や呼吸困難、血圧低下によるショックが起こり、放置すると命に関わることもあり、迅速な対応が必要です。過去にこの症状の経験がある方は「エピペン」というアドレナリンの自己注射を携帯しましょう。道立病院ではこの「エピペン」の処方が可能です。

刺された時の対応は以下の点です。①蜂の近くから離れて安全を確保する、②ミツバチの場合は針が残るのでピンセットや毛抜きなどで取り除く(手で取らない)、③刺された部位の周りを指で圧迫し毒を搾り出し、④患部を水でよく洗い、氷や冷たいタオルで冷やす、⑤必要なら市販のかゆみ止めを使う(ステロイド軟膏)、この5点になります。医療機関を必ずしも受診する必要はありません。呼吸困難や動悸がする、蕁麻疹が出るなどの「アナフィラキシー」を疑う場合で、この場合は救急車を要請してください。特に症状がその時点でない場合でも、過去に蜂刺されでアレルギー症状が出たことがある方は受診する方が良いでしょう。

蜂に刺されないためには、自然の中では黒い服を着ることや香水を避けるようにしましょう。また蜂の巣を見つけたら近づかないこと、蜂がいてもゆっくりした動きで刺激しない(手で払う動作は逆効果になる)ようにしましょう。

蜂に刺されても軽傷であることが多いため慌てる必要はありません。ただ、重篤なアレルギー症状が起こる可能性もあり、万一に備えて応急処置の方法を知っておくと良いでしょう。