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医療コラム

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2021.03.01 医療コラム

広報はぼろ 2021年3月号掲載のコラム記事

広報はぼろ 2021年3月号

この原稿を書いている2月上旬の時点では、まだ新型コロナウイルスのワクチンに関する情報は少ない状況ですが、羽幌町を中心に町内の医療関係者で、安全に皆さんにワクチン接種をできる体制を構築すべく準備を進めていただいております。

「予防接種」とは、病原体から作られた抗原を投与することで、体内に病原体に対する抗体を作ることにより、病気に対する免疫をつけることを目的としています。おそらく大多数の方が子供の頃からワクチン接種を受けており、全員が接種しなければならないもの(水ぼうそうやはしかなど合計14種類)、接種した方が良いもの(65歳以上のインフルエンザと肺炎球菌)、そのほか各自任意で接種するもの(65歳未満のインフルエンザなど)に分けられます。

ワクチン接種はどの程度の意義があるのでしょう。インフルエンザワクチンを接種してもかかることがありよく聞かれます。ワクチン接種には「個人を守る」という意義のほか、「集団を守る」という意義もあります。多くの人が予防接種を受けることにより、社会全体から感染症を減らすことにより、結果として予防接種を受けていない人も含めて感染者を減らすことになります(「集団免疫」といいます)。予防接種が集団免疫として効果を持つワクチン接種率は、その感染症がどの程度流行しやすいかによって変わり、風疹は85%前後、はしかは95%前後とされています。しかし、これらのワクチンの現在の接種率は日本国内で約60%程度とされており、今後このような既存のウイルスの流行も懸念されています。新型コロナウイルスでは全人口の69%~82%の接種で効果があるとの報告があるようですが、当初流通するものは現時点では16歳未満は対象外ですから、16歳以上のほとんどが接種する必要がある計算となります。集団での効果を高めるためには、より多くの方に接種いただきたいと思います。

ただ、ワクチンの接種は強制されるものではありません。副反応への危惧から「様子を見たい」「打ちたくない」気持ちもわかります。コロナ感染での差別同様に、接種しなかった方への差別も懸念されます。今回のコロナ渦で気づかされることは、何かにつけて分断を生むことです。私たちが初めて遭遇するものですから、決して正解があるものではなく答えは0か1の2択ではありません。そのようなことだけはないようにお願いしたいと思います。