広報はぼろ2022年2月号掲載のコラム記事
先月号では胆嚢結石についてお話ししました。同じく胆嚢にできる「胆嚢ポリープ」も健診で多く指摘されるものの一つです。ポリープは粘膜にできる隆起した病変で、さまざまな臓器にできますが、胆嚢の粘膜にできたものを指します。
胆嚢ポリープは症状がなく、健診の超音波検査で偶然見つかることが多いものです。健診受診者の5~10%程度に指摘されると報告されていますので、おそらく指摘された経験のある方は多いと思います。ポリープができやすい方は、肥満、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)のある方とされています。
胆嚢ポリープには種類があり、その90%が「コレステロールポリープ」とされるもので、胆汁とよばれる消化液の中のコレステロールが粘膜に沈着してできるものです。多くは数ミリ以内で、複数できることもあります。良性のポリープですので心配はありません。ほかの種類のポリープでも基本は良性ですが、悪性になるタイプもあるため、定期的な観察が必要です。
よく知られるポリープである大腸のポリープは、内視鏡で形や表面の模様や色などを見て、あるいは実際に組織をつまんで、良性と悪性を判断できますが、胆嚢はエコー(超音波)検査以外の方法は基本的にありません。血液検査でも判断はできません。エコーで形は判断でき、キノコのように茎があるもの、白く見えるものはたいていの場合大丈夫で、10mmを超えているもの、丘のように根元が広がっているようなタイプ、黒やグレーに見えるものは精密検査が必要になります。精密検査はCTやMRI、超音波のついた特殊な胃カメラで調べることもあります。
胆嚢癌の可能性があると判断される場合は切除が必要となりますが、ポリープだけを切除することはできないため、胆嚢を切除することとなります。腹腔鏡を用いて傷の少ない手術で済むこともありますが、肝臓と接する場所にポリープができている場合は、開腹して切除することになります。
手術が必要ではない場合は、さきほど述べたように定期的な経過観察となりますが、指摘された当初は半年ごと、変化がないようであれば1~数年に1回程度の経過観察で良いでしょう。経過中に大きくなる場合は精密検査になります。