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医療コラム

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2023.12.14 医療コラム

広報はぼろ2023年12月号掲載のコラム記事

先月はステロイドの正しい使い方をお伝えしました。炎症がなくなればステロイドを中止することをお話しましたが、再度炎症を起こさない、そもそもそのようなことのないようにするためには保湿が重要です。皮膚は重要なバリアの役割を果たしています。例えば、アレルギーの原因になるものが侵入することを防ぎます。とくに乳児期にスキンケアを行うことは、アレルギー発症予防につながるとされ、お子さんが産まれたばかりの方は、ワセリンを積極的に塗るように、産科や小児科の先生に指導されているのではないでしょうか。当院の病棟看護師は入院患者さんの皮膚を入念に観察し、危険のありそうな方は複数の目で確認し対策を立て、必要な方には積極的に保湿薬を使用させていただいています。

冬はストーブを使用するなど自宅内が乾燥するシーズンで保湿薬が活躍します。保湿薬には様々な種類があります。よく耳にされるのは「ワセリン」でしょう。皮膚の表面に膜を作り水分の蒸発を防ぎます。自家菜園をされている方には理解できるかと思いますが「マルチ」の役割です。同様の役割のものに「セラミド配合薬」があります。皮膚の角質の間にある物質を人工的に作ったものです。土に「マルチ」をするだけではなく、しっかり水分を与えなければなりません。水分を与える役割の代表は「ヘパリン類似物質」という保湿剤です。高い保湿力をもち、皮膚の炎症改善、血行促進作用を持ちます。慢性的なかゆみに対してステロイドが漫然と使用されているケースがありますが、慢性的な使用によるトラブルがあることから、こちらに切り替えておくのがよいでしょう。高齢者の皮膚の「チクチク」症状にもよく、長期使用でもトラブルが少ないです。同じく皮膚に潤いを与える薬として「尿素配合薬」があります。尿素は角質を溶かす作用があり、皮膚が厚くカサカサした場所(肘・膝・かかと)などに用いるとよいでしょう。皮膚の薄い場所では、かえって症状が悪化する場合もあるので注意しましょう。いずれも市販されており、ぜひ自分の気に入ったものを見つけておくと良いと思います。なお、医療機関では現に皮膚トラブルになっている方にしか処方することができません。

普段の生活では、日々の入浴は大事ですが、皮膚を強くこすらないようにしてください。石鹸・シャンプーはしっかり泡立ててから使いましょう。そして熱いお湯は避けて下さい。みなさんの皮膚トラブルが少しでも減ることを願っています。