広報はぼろ2024年2月号掲載のコラム記事
この季節は転倒して骨折される方が増える季節です。骨を丈夫にするために必要な栄養素として、骨の主成分となる「カルシウム」はよく知られており、積極的に牛乳や乳製品を摂取するように心がけていらっしゃる方も多いかと思います。ただ、日本人のカルシウムの摂取量は推奨されている量に対して、全ての世代で不足しているという結果が出ており、特に20歳代〜40歳代の方が推奨量の60%程度しか摂取できていないと言われています。
カルシウムは意識して摂取しないと不足してしまいます。それは日本の自然環境によるとされており、土にカルシウムが少ないことから、飲料水や野菜などカルシウムが含まれている量が少ないことがあります。また食生活においても欧米に比べてチーズなどの乳製品を食べる機会が少ないですし、伝統的な和食には乳製品が使用されることはあまりありません。これらのことからカルシウム不足になります。
骨の量がピークになるのは20歳前後で、そこまでにどの程度カルシウムを摂取するかが重要になるのですが、日本では学校給食で栄養が管理されているのでその頃は良いのですが、それ以降から摂取量が不足していきます。女性は閉経が近づいてくると女性ホルモンが減少していき、カルシウムが骨から出ていくようになってしまいます。
カルシウムを多く含む食品として、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨を含めて食べることのできる小魚(わかさぎ・イワシなど)、シラス、桜エビなどの魚介類、野菜では水菜、小松菜などが挙げられます。ただ、これらの食品を摂っていても体への吸収率が低く、摂取した分の7割程度は体外へ排出されてしまうのです。そのためカルシウムの吸収をよくしてくれるものと一緒に食べることで効率が良くなります。その1つがマグネシウムを含む食品で、ごま、納豆や豆腐などの豆類、そば、全粒粉、玄米などの穀類、ひじきなどの海藻、切り干し大根も多く含んでいます。もう1つはクエン酸で、レモンやグレープフルーツ、梅干しなどが良いでしょう。ビタミンDは小腸の中でカルシウムの吸収を助ける作用を持ち、鮭やしらす、シイタケ、マイタケなどに含まれます。ビタミンKはカルシウムが骨に定着するために有効で、わかめ、納豆、小松菜、ひじきなどが知られています。重複して挙げた食材がありますが、こういったものは特に有用です。